2013年06月26日

歯周病治療を「歯科医師」が行う意味

梅雨ですねぇ。
急などしゃ降り雨が、いきなり上がって快晴に。

吉祥寺の一角に咲く梅雨にうたれても咲き誇る花。
20130625_145647.jpg
中央線沿いの一角の風景です。
いつも通る道の
ちょっとした変化に季節を感じるのも新鮮な感じがします。

こういう時期にちょっと増えてしまう症状が、
皆さんおなじみの「歯が痛い」。

とはいえ、虫歯ではなく
歯周病の痛みを感じる方が増える時期です。

歯が疼く、浮いた感じがする、噛むと痛い、しみる・・・
気候の影響や、体調変化の影響などで
とくに、「くいしばり傾向のある人」にみられる時期です。

歯周病に関しては、ポピュラーな題材ですので、
このブログでも、何度か書いていますが、
今回はちょっと視点を変えてお送りしましょう。

2チャンネルや、
一般の方の医療相談系座談会とでもいうべき
ネット上の「歯周病やその治療状態」の内容を見ると、
あまりにも滅茶苦茶で適当なものが多いんです。

そのなかでも一番「カチン!」ときたのが、
歯石は歯科衛生士が取るものなのだから、
歯科衛生士のいるクリニックじゃなきゃダメだ、
という意見の乱立。

そこで思い出した。
専門家を名乗る歯科医師がテレビで似たようなことを言っていた。
・・・きっとこの人も、
     歯周病 = 歯石だけが悪い
       と思っているんだろう。

そこには、歯石という「汚れやバイ菌」を取ることだけが
歯周治療であるかのような誤解があるんですねぇ。

もっとも、私たち歯科医師の、
真の内容を解説する複雑な説明より、
患者さんのイメージしやすい言葉を選んで
注意喚起を促してしまいがちなことにも原因があるのですが・・・

歯石が付いている部位 = 磨けていない所
・・・ってだけじゃないんです。
(もちろんそういう意味もおおいにあるんですが)

「噛み合わせが強いところ」ほど、
ハグキが下がり、歯根が見え、
歯根の複雑な形ゆえに
磨いていてもデッドスペースが出来てしまうから
歯石が残って磨けていないように見える所。

「ドライマウス」の影響で、
自浄作用(ツバで洗い流す力)が衰え、
歯石が蓄積してしまうところ。
またその影響で「酸蝕症」になり
歯石が付着しやすい状態になっている所。

「身体の抵抗力が低下」し、
わずかなバイ菌にも過度の炎症反応を起こし、
血清成分の豊富な歯肉溝滲出液(しにくこうしんしゅつえき)が
あふれてしまい、細菌の温床となっている状態。

などなど、
歯ブラシよりも前に、原因がある人は相当多くいるんです。

それを診断するには、
本来なら歯科医師が歯石を取りながら、
1本1本の歯に
・どう付いているのか
・どこまで付いているのか
・なぜ付いているのか
を見極めるのが最善策。

原因療法であるべき歯石取り(スケーリング)が、
単なる対症療法にしかなっていないようではダメなんです。

スケーリングを
手でやるクリニックがイイのか
機械でやるクリニックがイイのか
なんてページを目にした時なんてバカかって思いましたもん。
両方必要です。
手だけで行うところ・・・難しいですよ完全に取りきるのは。
機械だけで行うところ・・・まずハグキの中は洗っていませんよ。
(すべてがそうと言い切るつもりはないですが、
 どっちかだけなんて出来ませんもん。私。)

歯がつるつるした・・・という感想じゃなく、
口の中がスッキリ軽くなった・・・という感想をもてれば
ちゃんと歯周病治療がなしえたといえるんです。
炎症部まで治療された状態ってこういうことです。

当然そのためには、出すべき「ハグキの血=炎症」をしっかり出し、
歯石とともに取り去ることが有効です。

歯周病治療には、
内服薬等を用いる「歯周内科」
手術を伴う「歯周外科」
もあるんです。

それだけ手ごわい病気が、歯周病。

それをすべてモーラできるのは歯科医師だけでしょう。
もちろん通常は、
歯科衛生士と共同で歯周病管理を行っているでしょうから
我々から見れば、分業+共闘という感覚なのですが、
一般の方には、歯科衛生士だけが歯周病のプロと
勘違いしている人が多いのでしょうね。

ウチは・・・歯周病によってズラされる噛み合わせの影響が
さらに歯周病を増悪させてしまう事を鑑みているので、
自分でスケーリングしたいんですねぇ。
その方が細部までの状態がわかるので。
(結構多いんですよ、そういうクリニックも)

まぁ、クリニックによっても
治療の考え方やスタンスは大きく異なるので、
一概に言い尽くせるものではないのですが、
残念すぎる意見を目にする度に、
ちゃんと正しく広める活動をすべきだなぁと思います。

虫歯、顎関節症、ドライマウス、くいしばり、噛み合わせのズレ・・・
ホントに多くのことに絡み、
それらの原因ともなっている場合の多い歯周病。

一般では、その影響が出てくる「6カ月」を目安に、
個人に合わせて、早かったり遅かったりのペースで、
スケーリングする習慣があるといいですね。




カラフルあっぷるいーと3.JPG









posted by あっぷるいーと いんちょう at 02:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 歯周病・歯肉炎・歯ぐきの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月08日

良い歯の集い & すきっ歯でも歯石

2012年6月10日(日曜日)は、武蔵野公会堂にて、
「 第45回 良い歯の集い 」
が開催されます。

8020運動というのがありますが、ご存知でしょうか?
80歳になっても20本以上、歯を残そうというスローガンです。
これをクリアされた方々を祝し、見習おうとする集まりです。

今回から私も参加します。
ちなみに今回の担当は御土産係だそう。

歯が残るために、何が大切か・・・
それは虫歯と歯周病のケアでしょう。

今回はその中で歯周病について触れておきましょう。


20110930160316.JPG

この写真は、下顎(かがく・したあご)の前歯を、
舌側(内側)から見たものです。

ハグキのラインに沿って黄色く見えるのが歯石。

まさに磨き残してしまうポイントでもあります。


20110930161540.JPG

同じ部分の歯石を取った状態がこんな感じです。

歯石が付いていたラインに注目!
歯自体の形が、球体のように“丸い”感じがわかるでしょうか?

歯茎に沿うほどに、この丸みの“陰”になってしまい、磨き残してしまう。
歯ブラシが届きにくいポイントです。

さらに、力いっぱい磨こうとするほど、
歯ブラシの毛先がこの“陰”に届かない・・・

箒(ほうき)のように、
押しつけたら掃けない!
毛先でスッスと軽く何度も当てることが肝心です。


20110930160316-212.jpg

同じ写真を2枚並べてみました。
今度は、黄色い丸に注目!

歯石の形どおりにハグキがクボんでしまっているのがわかりますか?
よく見ると、その歯茎も赤くタダレている感じ。

この腫れた感じが炎症です。
写真上 = 見た目・・・では、その程度の印象かもしれませんが、
ハグキの下の歯槽骨(歯を支える骨)まで、炎症が波及してしまっていると、
歯がグラグラになって抜け落ちてしまうことにつながります。


すきっ歯(すきっぱ)な人でも、歯石はこのように溜まってしまいます。

正しい歯並びをしている人でも、歯周病の危険性は大きく、
叢生(そうせい)と言われる乱杭歯(らんぐいば)や八重歯(やえば)
などがあるほど、ちゃんと磨かなければリスクが高くなりすぎてしまう。

歯石になってからでは、歯ブラシで落とせません。
そうなる前のプラーク(歯垢)の段階でケアするしか、
自己解決の道はありません。

それでも残ってしまうから
・・・定期的な歯科医院での専門ケアが大切になるのです。

早ければ3日ほどで歯石になってしまいます。
磨き具合や、食生活、体調変化などで変わってきてしまいますが、
歯周病が歯槽骨を溶かし始めるには、
3か月〜6ヶ月〜1年ほどの猶予があります。

そのため、歯石の付きやすさや、磨き方の危険度を考慮し、
その人に合った期間をあけて、定期クリニックケアをお勧めしています。


老化で歯がなくなってしまうのであれば、
8020運動なんてありえません。

達成できる人がいる・・・それこそが老化で歯を失うのではない!
という証明でしょう。

このブログのサブタイトルをもう一度見てみましょう。
老化の5〜6倍速く、
歯を支える骨がなくなってゆくのが歯周病の脅威です。

達成できた人たちの笑顔を見に、多くの方々が、
2012年6月10日(日曜日)に、
武蔵野公会堂(マルイの横です)にお越しいただけると幸いです。




カラフルあっぷるいーと3.JPG








posted by あっぷるいーと いんちょう at 23:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 歯周病・歯肉炎・歯ぐきの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月11日

2月誕生石と歯

2月の誕生石・・・アメジスト(紫水晶)

神秘的な紫の宝石です。
その逸話もおもしろいものがあるので、探してみられることをオススメします。

このブログは歯に関することを中心に書くようにしているので、
本日の出だし文から、
「アメジストと歯の関係はどうなっているのだろう?」と気になった方は、
あっぷるいーといんちょうブログの愛読者になってくれているのかも?
(結構、読んでくれているという言葉は頂くのに、更新が遅くて済みません。)

逆にこれから書く内容をご存じの方は、
歯のマニアか、
ドクターショッピングされて苦労されている方とか・・・
・・・もしそうなら、早めにお気に入りのドクターが見つかると良いですね。


・・・また脱線しますが、医療って、技術や知識の充実さも大切ですが、
やはり人と人の相性ってもっとも大事だと思います。

・・・私も万人に好かれようとは思っていませんし。

歯科に来られる患者さんは、
痛い人か、歯を良くしようという意志のある方、
が大半を占めます。

早く楽にしてあげたいし、
ベストな状態に改善してあげたい。
そういう思いで接するのですが、どう見えているかは患者さん次第。

私の場合は、患者さんにもっと自分の歯に興味を持ってほしいし、
そうなることでもっと末永く健康な歯で維持しようという思いを持ってほしいので、
おしゃべりしすぎることもある。
それを良いと思ってくれる患者さんが集ってくれれば、大成功と思っているわけだし。

個人開業だからこそ「つながり」を強め、わずかな変化を早期に見極め、
万全な状態に維持できるような「かかりつけ」になれると思っているわけです。

それは「個々の患者さんのことをもっとも良く知る専門医」といえるだろうと考えます。

うちはそんなクリニックを目指しているため、
患者さんからすれば、
気に入ってくれる方もいれば、合わないと感じる患者さんもいるでしょう。
クリニックの選択・・・それは患者さんの自由です。

ドクターショッピングされている方は、少なからず不安を抱いておられる方でしょう。
心療歯科の関連で専門に扱う大学病院もありますので、試されてみるのもアリだと思います。
けれど、
探すことばかりに専念され、口内環境が悪化し続けているのであれば、それこそ問題です。

治療方針やクリニックコンセプト、腕の善し悪しなど、
一概に推し量ることはできません。
様々な治療法がありますが、プロセスは違っても目指すものは同じです。
また保険内治療に限局すれば、やって良い方法ですら規定されているのです。

もし何かしらの理由を付けて放置されているのであれば、
まず治すべきものをちゃんと治すことの大切さにフォーカスを当ててくださいね。


・・・大幅に行数を使った脱線をしました。
いつものことですが。


そこで本題。
・・・というか歯とアメジストとの関連の答え。

「ひっかき強さが同程度」

= 歯の傷つきやすさのレベルを鉱物でたとえるとアメジストに近いといわれます。

アメジストも歯(エナメル質)も、モース硬度7

ちなみにダイヤモンドは10
爪ならば2.5
ナイフなどは4〜5程度

エナメル質って、かなり傷付きにくいんです。

だから歯科医が虫歯を削るには、
それよりも硬いもの・・・
ダイヤモンドの粒子が配合されたバーを使うんです。

歯石落としのスケーリングでは、
超小型のナイフ(スケーラー)を用います。
上記のように4〜5の硬さですので、
これで削ってもエナメル質は破壊されない!


ただし、

エナメル質に限ってのことです!!

歯の表面をつかさどるエナメル質は人体でもっとも硬いですが、
歯の内部を構築する象牙質はモース硬度で言うと5〜6(骨よりわずかに硬い)
歯の歯根部分の表面を構成するセメント質は4〜5(骨と同じ程度の硬さ)

つまり、セメント質はスケーラーと同じ硬さのため傷つく。
素人が行えば、歯根がボロボロになってしまうことも。


近年、「なんでもセルフコントロールを!」
という風潮があります。
医療費削減を目標に国が推進しているのですから、仕方のない事かも知れません。

その流れを受けてか、
質の悪いスケーラーも一般の方が購入できるようになっているのを知っているでしょうか?
100円ショップにすらある事もあります。

「つまようじ感覚で使えます」なんて書いてあるのも目にした事がある。

気を付けてください。
歯根は削り取れていきますよ。

そして削り取られた歯根を改善のしようはない!

虫歯になりやすくなったり、歯周病になったり、
抜くしか手段が無いなんてひどいものをみることもあります。


セルフコントロールは大切なことでしょう。
ただし、何も知らずに、みよう見真似で行えることは医療にはない!
素人だから・・・、自分の身体だから・・・、自分でやったことだから・・・
[自己責任]という言葉で、法律は助けてはくれないことです。
結局、損をするのは自分自身。
・・・それではせっかくのセルフコントロールも意味ありません。

どんなことでも正しい知識をもって、正しく行わなければダメですよ。

正しいセルフコントロールも、専門家に1度相談されるべきだと思います。
歯については歯科医師に。

そんな相談もできる「かかりつけ」を作られることを本当にお勧めします。



アメジストの石言葉を知っていますか?

誠実、真実、心の平和・・・など調べてみるといっぱいあります。

ちょっと今回のブログでは、
これらの言葉に呼応して内容を書いてみようと思って始めましたが、
無理があったかなぁ。
後付っぽくて、スカッとしないよね。
まぁ、文の構成力不足ってことで。


余談ついでに。
10年もやっていると、「かかりつけ」と思ってくれている人たちもたくさんいるんです。
今の吉祥寺では1年しか経過していませんが、
それでも「かかりつけ」と思ってくれている人たちも
結構できてきてくれたなぁって、実感があります。

それってドクターとしての立場から言うなら、うれしいんです。

信頼されてるってことですから。
信じてもらっていて、頼りにされているってことですから。

だからもっと頑張ろうっていう原動力になる。

1つ1つのつながりを、単に大切にするだけじゃなく、
支えられてるっていう実感があるからこそ、支えてあげたいって思えるわけで。
そんな人生にドップリとつかっているので、24時間歯医者でいても苦には感じないし。
仕事とプライベートの気持ちを切り替えられる人もいるだろうけど、
私の場合は、歯科医師プラスのプライベートが多いので、
なんか仕事に役立たないかなぁ・・・って買い物でも考えちゃったり。

まぁ、携わった患者さんのすべてが信頼してくれているわけではないでしょうけど、
そんな方々が増えてくれているから、真剣に歯科医師をやれているわけです。

たまに最初から好戦的で怪訝そうで不安感たっぷりの飛び込み患者さんが来ると
私のほうがヒヨッてしまいます。
けど、話を聞いてくれる人ならば、最後は笑顔になってくれますし。

好かれても嫌いな人もいる。(笑)
たいていは、ウェルカムな気持ちで、大きな愛で迎え入れるつもりなんですけど。

相性って、患者さんから見る医者に対してもそうでしょうけど、
医者だって患者さんとの相性って考えちゃうこともあります。

基本的には相思相愛(医療という関係性においてだけですけどね)になれた方が
「かかりつけ」と思ってくれているんだろうなって思います。

1回の治療で相思相愛になれることもあるかもしれないですけど、
そんな一目ボレしてもらった事ってあるのかなぁ?

何回か治療していく中で信頼されていく方が多いような・・・

んなもんで!
初回治療でいきなり好かれようなんて思っていませんので、
とっつきにくい先生と思っている人もいるかもしれませんね。

営業スマイルってできないのよね。




カラフルあっぷるいーと3.JPG



posted by あっぷるいーと いんちょう at 19:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 歯周病・歯肉炎・歯ぐきの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする