2013年06月01日

乳歯…その意味するものとは…

クリニック内だけでなく、
検診センターでの乳幼児検診など
多くの親子と接する機会があります。

そこでたまに耳にする言葉・・・
「乳歯の虫歯って治療しなくても良い
ものじゃないのですか?」

時には、そんな言葉を
歯科医師や歯科衛生士から言われた人もいるようです。

ふざけるな!

と断言します。

治療しなくても良いケースは、

1、削るバーのサイズよりも、虫歯になっている範囲が小さいもの。
 ⇒ 再石灰化を促進することで完治できる範囲限定。
 (注:1mm四方の虫歯はバカデカイに属します。)

2、はえ換わり1〜2週間前程度の乳歯。
 ⇒ 抜け変わる時期が明白で、
   削って埋めても数日で抜け落ちる状態。

以上。

それ以外で治療しない理由は、

1、泣く・嫌がるなどの理由で治療ができないために放置。
2、親の理解が得られないケース。
3、小児の治療は、大人の歯よりも難しいため。
など、
・・・基本的に大人の事情という言い訳です。

・子供の口は小さく、視野や施術スペースが狭い。
・舌を動かし、首を振り、手足をばたつかせ、危険行動が多い。
・唾液が多く接着操作が難しい。
・歯が柔らかく、質が粗く、外れやすい。
・永久歯のはえ換わりを考慮に入れた治療が必要。
 (現状だけでなく、ハグキの中の見えない歯を考慮。)
・治療時間がかかるケースが多い。
・気を使う。
・疲れる。
・・・・・etc.

治療でも、検診でも、診れる時間は限られます。
どうしても出来ない子供は、
出来るまで何度でも通ってもらい、馴らせることが肝心ですが、
そのための時間を作れるほど「親」も時間があるわけではなく、
出来るだけ回数を減らせるよう、子供をせかしてしまう。
その行動が余計に、子供が歯科嫌いになる元凶の1つです。

誰もが大変で、納得できる言い訳が、
乳歯は、はえ換わるのだから、治療しなくても・・・
という言葉にすがりつく結果に。

なので、
乳歯とはどういうものか、をちゃんと理解して、
親としての(子供の成長に対する)責任の下、
子供の歯を治療すべきか、見守るべきか、
を考えてみてください。

乳歯は、
1、食べ物を小さく噛み砕き、成長期の栄養摂取に働く。
2、口の中の空間を作り、正しく発音するために働く。
3、あごの骨の成長を促進し、顔の形を整える役割。
4、骨格を整え、全身バランスを整える役割。
5、永久歯がはえるための幅のスペーサー。
6、永久歯がはえるための高さのスペーサー。
など。

言いかえれば、
虫歯などで多数歯が崩壊したままだと、
1、栄養摂取不良で、成長に影響が出る。
2、発音などに障害が出る。
3、顔がいびつになる。
4、全身がいびつになる。
5、叢生(ガチャ歯)になり、細菌の巣窟になる。
6、歯が低くなり、顎関節症やドライマウスを引き起こす。
など、様々な悪影響が考えられます。

ひとつひとつを詳しく語るには膨大なので割愛しますが、
状況を見て、必要に応じて正しい対処をすべきです。

そのためには、

1、虫歯になってから
  嫌がる子供に治療を受けさせるのか?
2、虫歯になる前からクリニックに通い慣れさせつつ
  予防していくのか?
3、まともな治療ができるまで成長を待ち
  口内環境に無関心のまま過ごす大人にさせるのか?

を選択してください。

極端なことを言いますが、
ネットなどで縛りつけて抑えつけ治療をする方法や、
全身麻酔をかけ寝かして治療を進める方法など、
無理やり治療する方法だってあるんですから、
どんなひどい状態であっても治療する手段を
医療者サイドは持ち合わせています。

ただ、そんな選択をしたくないからこそ、
2番目の選択をされる方が増えることを期待します。


もちろん、多くの子供はコミュニケーションがとれます。
いたがらせたり、こわがらせたり、なんてことをせずに
普通に治療することは可能です。

まず、目が合わせられる子供であること。

これが出来ない子供だけが、治療困難で、泣きます。
経験上100%です。

逆に、目が合わせられる子供なら、
経験上100%、泣くこともなく
ちゃんとした検診や治療ができます。
0歳からの子供に言えることです。

目が合わせられる子供に育てていただければ、
治療する側としても本当に助かるんです。

単なる通過点ではなく、
成長過程と、今後の大人期への影響の出発点が「乳歯」です。
スタートからズレれば、
けしてそのままでは、正規ルートへは戻れません。
矯正したり、作り物で修繕したり、
手術して骨格から整形したり、、、。


そんなことを望まないのであれば、乳歯を大切に。




カラフルあっぷるいーと3.JPG










ラベル:乳歯
posted by あっぷるいーと いんちょう at 01:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 歯・虫歯に類する話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月19日

集団検診の見落としに注意

そろそろ新年度も始まり、
学校や会社などでも歯科検診が行われているでしょう。

私も今週には、中学校の歯科検診に行くことになっています。

地域イベントなどでの無料歯科検診もそうですが、
ハッキリ言って、
クリニック内で行う歯科検診と、同じレベルでは出来ません。

なぜって、「見る」ことですら条件がベストではないから!

灯りは、ペンライトなどで足せるからイイのだけれども、
ツバを吸うことも、吹き飛ばすこともできないことが
最大のネックです。

たぶんこんな内容を話すようなブログ等はないでしょうから、
具体的にお見せしましょう。


20130518180830-11.jpg

この写真は、普通に口を開いてもらっただけの状態です。
結構綺麗な歯って感じがしませんか?

その歯に、風を吹きかけて乾燥させると・・・

20130518180843-11.jpg

こんな感じになるんです。
噛む歯の溝にある黒いスジがわかりますか?
これぐらいが、C1(しーいち)というレベルのムシバです。

・・・とはいえ、単なる「汚れ」ではない、とは
まだ言い切れない状態なので、
本来なら、細い針の形をした道具で触って確かめる必要があります。

つまり、診療台の設備と同じくらい条件が整っているなら、
細かいところまで検診できますが、
ミラーとペンライトしかない場合は、
それなりの、
一定レベル以上の悪いものしか
判断出来ない場合があるということ。

言いかえれば、
集団検診で発見できるレベルの虫歯は、
さっさと治すべき、悪い状態ということです。

逆に、細かい状態まで気にする
歯を大切にしようという意識の高い人は、
集団検診レベルでは見落としてしまうものを、
クリニックでの検診で発見するようにしましょう。

もう一度、同じ歯を比較してみましょうか。
ぜひ拡大して見てくださいね。

20130518180830-1.jpg

10秒も風を吹きかけて乾燥させると、
「歯」本来の状態が正しく浮かび上がってくるんです。

これは、「口腔内」や「入れ歯」などに付いた
歯石や着色を判断するにも必要です。

ぜひ入れ歯の方は、一度洗ったら乾拭きして、
歯石が残っていないか確認しましょう。
結構、濡れている時には気づかない歯石があるでしょう。


・・・余談ですが、この歯の写真だけでも、
くいしばりや顎関節症の兆候が見られます。
この状態なら、確実にどんな癖があるかもわかります。
ウチなら、まず悪癖の改善から始めるでしょう。

その改善方法は…
歯科で聴くことはほとんどないようですが、
ヨガの先生から聞いたことがある、
と言っていた患者さんがいました。
もちろん顎関節症の改善方法という意味ではなく、
人間本来の「ある部分の正しいポジション」を
指導されただけのようですが、
それが顎関節症の治療にも大事なんです。

面白いですよね、ヨガと歯科の共通点です。


・・・本題に戻りますが、
集団検診はあくまでも
悪化しているものがあるかを判断する目安です。
もちろん検診する側もプロですから、
極力、見落としはしません。
(治療に値するかどうかの判断に悩む程度の
小さい虫歯は見落としがあるかもしれませんが。)

でも正しく状態を把握したいなら、
クリニックでの検診を受けましょうね。


カラフルあっぷるいーと3.JPG






posted by あっぷるいーと いんちょう at 03:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 歯・虫歯に類する話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月31日

大人気

「大人気」


唐突な言葉を振ってみました。
さて皆さんはこの文字・・・どう読みましたか?


「大、人気。・・・だいにんき」と読んだでしょうか?
それとも
「大人、気。・・・おとなげ」と読んだでしょうか?

どこでどう区切るか、で意味が変わってしまいます。
字面だけを見ても、正しく読めているかもわからないわけです。

そんな曖昧な日本語を駆使する日本人だからこそ、
日常の中の曖昧さを何でも正すべき!
とは考えないのかもしれません。

結構、白黒はっきりモノを言う外国人発言に
苛立つ人もいるでしょう?

曖昧さを、「ワビサビの心」と混在させ、
あたかも美徳のように思ってしまいます。

その結果が・・・母国語すら変容させていきます。

そもそも現代の日本語は、
間違った解釈のまま一般化してしまっている事が多いんです。


一段落
「ひとだんらく」と読むのは間違いで
「いちだんらく」と読むのが正しい。

他人事
「たにんごと」と読むのは間違いで
「ひとごと」と読むのが正しい。

私の携帯用テキスト執筆機器のポメラでは、
「ひとごと」と打つと、
「人事」という変換しかされません。
さすがにスマホでは、ちゃんと変換されますが。

ポメラでもスマホでも、
「ひとだんらく・たにんごと」はちゃんと漢字変換されます。
・・・間違いなのにねぇ。

さぁ、どれだけの人が、「へぇ〜」っと思われたでしょうか。
市民権を得てしまっている「勘違い・間違い」のたぐいって、
日常生活の中に相当あるのでは?


歯科においても、市民権を得ている間違い・・・
「痛くないから虫歯はない」!!!

問答無用で、百聞は一見にしかず。

痛みを1度も感じたことのない、虫歯の数々。
これで本人も虫歯があるとは気付かなかったという。
あっぷるいーと吉祥寺歯科に来院されて、
その場で撮影した自分の歯の写真で見せられて、
「これは自分の歯なんですか?」という状態。
・・・そんな虫歯の数々をどうぞ。

musiba.jpg


続いて、
「虫歯があるなぁ」
とは気付いていたが、
「痛みもないしそのままでいいやぁ」
と放置した虫歯をどうぞ。

musiba2.jpg

食べ物が引っ掛かっているのもありますねぇ。
慣れちゃっているんでしょう。本人はその状況に。
いつものことだから・・・。


さぁ、今回の写真は10〜30代の男女でお届けしました。

もうすぐバレンタインというイベント時期です。
浮かれ始める時期です。
あなたの好きな人がこういう状態だったら・・・。
もしあなたがこういう状態だったら・・・。

最近は、
相手のことを考えることも減ったのでしょうか。
相手にもし迷惑をかけてしまったら、
相手に感染させてしまったら・・・。
口腔内の疾患は感染しますから。原因は細菌ですし。

イージーカム・イージーゴー
な恋愛ってなら、どーでもいいんだろうけど。
そんなのにSEX以外のなにが期待できるのだろうね。
あ〜「病気」の忘れ形見がもらえるか。

・・・できたらそうならないように相手は選びましょうね。
まぁ、相手の歯なんて見ることもないでしょうし、
注意しようがないでしょうけど。

エイズには注意がいくでしょうけど、
意外と忘れられている口腔内の感染症の数々。

曖昧なままでいいのでしょうか?
特に周囲の人にとって。


昔馴染みの患者さんで、
結婚されて、今度パパになる方がいました。

いつも会社帰りや、オフのスポーツ帰りとかで、
来院してくれるのですが、
歯垢(プラーク)べったり。
ハグキは真っ赤っか。
1年ぶりに診ると、必ず虫歯が何本も。

ちゃんと磨かないとダメだよ。
どんなに言っても、
う〜ん。忘れちゃったりすることもあるからなぁ。
・・・とても1日でついたプラークとは思えない量。
屈託のない笑顔で、
「わかっちゃいるけど・・・」という姿勢のまま、
いったい何年の付き合いになるだろうか。

パパになると聞いたので、
祝辞を述べると共に、
「赤ちゃんが産まれたら、
噛み砕いたものをあげちゃダメだよ。
絶対、赤ちゃんに虫歯が移るから。」
と伝えた、後日の治療から、
まぁ、見事に、良く磨く良く磨く。

どんなに歯石落とししても、
1週間後にはハグキ真っ赤に腫らして、
歯肉炎状態だったのに。

ハグキが腫れたままの状態にしておくと、
血圧あがっちゃうよ。心筋梗塞にだってなるんだから。
そんな言葉をどんなに投げかけても響かなかったのに、
赤ちゃんは偉大だ。
(奥さんに感染しちゃうよ・・・は効果なかったけど(泣))

自分の体に悪影響を及ぼす、とか、
奥さんに感染させてしまう、
という実感はわかなかったのでしょう。
でも、
赤ちゃんに感染させてしまうかもしれない
ということは実感できたのでしょう。


曖昧さは、必ずしも美徳にはなりえません。
何でもかんでも、見ないフリするのは・・・
・・・おすすめできません。

歯科医師のブログですから、
歯の事に関して書いていますが、
それ以外の事でも、思い当たることがある人は多いでしょ?
(私なんていっぱいアリすぎますもん。)

行動を変えるキッカケは人それぞれでしょう。
でも、行動を変えるのは自分自身でしかないのです。


立春を新年と考えれば、節分は大晦日。
まだ数日あるので、
新年の目標を改めて立て直してみるのもいいかもしれません。



カラフルあっぷるいーと3.JPG




posted by あっぷるいーと いんちょう at 02:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 歯・虫歯に類する話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする