2017年11月06日

2017年11月の予定&歯科の触診

2017年11月の予定

10日(金曜)19:00終了
28日(火曜)午前休診・午後通常診療

となります。ご注意ください。

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今日は触診のお話。
超・長文になっています。
お時間のある時にゆっくりどうぞ。

触診とは手指で触って確かめることを言います。
わずかな動きの変化(リズム・タイミング・強さなど)
を察知することでおかしい状況になっているのかを探ります。
近年では専門の機械もかつてよりは小型化され
状況を数値化できるメリットはありますが
実際の現場では必要なものとは限りません。
職人並みの研ぎ澄ました感覚の方が   
素早く細かく何度もできたりするので
使い勝手が楽です。

ちなみに専門的な機械は保険対象外。
診断とそれにまつわる治療も自費扱いになります。
その方が信用できると思われる方は
そういう治療をされている病院を探されるとよいでしょう。
ウチの場合は保険内で治療することがほとんどの為
触診による診査が絶対必要になります。

噛み合わせやドライマウス、顎関節症に関連して
必ず触診する顔の部分があります。
顎関節の挙動と咬筋・側頭筋のバランスです。

これは素人さんでも大体わかる動きなので
(わずかな差はわからない人もいますが…)
自分で触ってみるのもよいでしょう。

まずは顎関節。
耳の穴に人差し指を当て、
ゆっくり前の「もみあげ」あたりまでズラします。
その状態で口を大きく開け閉めしてもらうと
関節が動いているのを感じるでしょう。
その位置より気持ち下方にある人が多いので、
関節の動きを感じながら微調整してください。

位置が定まったら
口の開け閉め(大きく限界まで動かしましょう)
をして左右で動きが同じことを確かめましょう。
軽い開け閉めではズレは感じにくいです。
しっかり開け閉めしましょう。

カックンと段差を乗り上げるような感覚があったり
ゴリゴリ・カクカクとした感じがあるようなら
顎関節症レベル3。

スムーズに動くのに
左右で全く動きが異なっている感じがしたら
顎関節症レベル4。(一番悪くなった状態です)
このレベル4はレントゲンを撮ることで
左右の骨の形が変わってしまっているのを
発見できると思います。
またレベル3のようなゴリゴリした感覚はなくなり
滑らかなのに左右で挙動が違う状態のはずです。

ちなみに病名で分類すると
T型 咀嚼筋障害
II型 顎関節痛障害
V型 顎関節円板障害
 タイプA 復位性
 タイプB 非復位性
W型 変形性顎関節症

悪くなっている部分でいうなら
T型 筋肉の痛み(感じていない場合も多い)
II型 靭帯などによる痛み(感じていない場合も多い)
V型 軟骨(関節円板)のズレ
W型 関節の骨の変形
となります。

かなりの割合で高校生頃に
顎がカクカクなっていたという経験がある人は
ある時から感じなくなったはずです。
それがレベル3からレベル4に悪化したことでの変化です。
なのでレベル4になった人は
ここを触ってもらうと動きに左右差を感じるでしょう。
たいていの人がカクカクしなくなった
=治ったと思っていますが
レベル4になってしまっただけで、実際は悪化しています。

次は
アゴの骨でよく「えらが張る」といわれる部分から
指3本分程度前方。
上下の歯を接触させて、さらに強く噛み込むと
ホホの筋肉がプクップクッと膨れるでしょう。
その筋肉を上にたどると、
頬骨まで伸びます。
その筋肉の動きは左右で均等でしょうか?
噛むための筋肉は4種類ありますが
ここはそのうちの咬筋というところ。

さらに
「こめかみ」にあたる部分。
顎関節から上に進み、
耳よりも上にたどり着いたところ。
ここも強く噛み込むと動くはずです。
左右均等でしょうか?
ここは側頭筋というところ。

他は骨の内側にあるので
専門的な触診が必要な時は触りますが
大体はこの2か所の筋肉で診断は事足ります。
細かくは無理でしょうが
顎関節症レベル1〜2はこの触診で有無が判定できます。

うちでは
この筋肉たちと顎関節の3か所は噛み合わせの調整を
するときは必ず触ります。もちろん歯も触ります。
たいていの原因は噛み合わせのズレにあります。

しかし、ときにそのバランスを崩す要因として
噛み合わせ以外のこともあります。

先ほどの咬筋や側頭筋が痛いといって
来院される人がいますが、
ウチで数年前に咬合調整をしてある人の場合だと、
そんなに簡単にバランスが崩れることはありません。
もちろん歯肉炎や歯周病で
バランスが一時的に狂うことはありますが
この例ではそれがないと仮定します。
そんな時は大体が「肩や肩甲骨のコリ」だったりします。

肩や肩甲骨をほぐすと
噛んでて楽。咬筋や側頭筋が軽い。
となることもしばしば。
そんな時は噛み合わせを調整してはダメ。
ケース バイ ケースで診ていくわけです。

もう少し歯の触診について話しておきましょう。
カチカチ噛んでもらったときの歯の振動
なんかも触診しています。
左右で当たる強さに相違がないか
タイミングは?などをチェックしています。
ズレがあった場合、赤い紙を噛んでもらい
当たる所に色付けをし、どう削って調整するか
顎関節や筋肉、アゴの角度や、
レントゲンでわかる関節の変形度合などを参考に
考えていきます。
歯の噛む面の傾斜に対して
下げるのか、横に移動させるのか、滑らせるのか、
などすべてあれば32本ある歯のバランスと
動いた後の状況を想定して変えるわけです。
だから右が強く当たるけど左を削ることで
右が正しく治るということも起こります。

強く当たる右だけを削ってしまう人が多いので
おかしくされる場合があるわけですね。
専門を掲げる大学病院でも起こることなので
そこで治らなくって…とウチに来られる人の多くは
恐怖心や不安感を植え付けられているので
なかなか削って調整する治療をさせてくれないんです。
すぐ治ることを
すごく遠回りして治していかなければならないこともあります。

ちなみにカチカチ噛んで、歯ぎしりして…
あきらかに歯の自然な削れを見ると
もっと動かしてるよ!
と言いたい人が多いのですが
「そんなに動かしたことはない」と言われてしまいます。
上下の歯で削りあってぴったりハマる状態を鏡で見せても
納得しきれない感を出されるのですが、
そこまで動かしてるのです。
妥協点として「寝ているときの歯ぎしりなのかも」
と言ってくれる人もいますが、
食事の食べ方だったり、仕事の姿勢だったり、
ということも多い。
気を付けてくれればいいのですが
寝ているとき!とされてしまうと
日中の悪癖はないものと自分で太鼓判を押してしまいます。
日中のことを気付いてくれるまでは
完治させにくい。悪化を遅らすことはできますが。
ちなみに自費治療になりますが
ボトックスとかさせてくれるなら
自覚や自己変革がなくとも早く治せますが…
まぁ、その人しだいで変わります。

何度も言っているのですが
身体はつながっていて連動しているので
どこが悪いかを見極めたうえで
噛み合わせを判断しなければならないので
「噛み合わせを診れない歯医者はいないけど
噛み合わせを正せる歯医者は少ない」という
現実が起こっているのですが・・・

小さな積み重ねが
飲み込むなどのあたりまえの行為を
できなくさせる原因になっていたりもします。
「ご飯」を「おかゆ」に、「おかゆ」を「ミキサー食」に
・・・それすらダメなら管や点滴で。
そうなる前にちゃんと見てもらえるといいのですけれど。

以前書いたと思いますが
ドライマウスで十数件の病院
(大学病院や総合病院、個人クリニックまで
耳鼻科から始めて歯科へと渡り歩いたおじいちゃん)
で治らなかったそう。
最終的には不治の病といわれたんだそうです。
それでもあきらめずウチにたどり着き2〜3か月後には
本人も「こんなに出て大丈夫かね?」というほど
唾液が出るようになりました。
まぁそこまでは良いんです。当然の結果ですから。
ただ、それから1年半以上放置されている状態。
「悪くなったらまた治してもらえばいいんだろう?」
と考える方が多いのですが、
治せる状態と治りきらない状態というのがあるんです。
治せるものしか治せません。今よりはマシにはできますが。

身体が曲がり骨が変形した状態だったり
内臓を摘出されてしまったり
口の中は口の中だけで出来上がっているものではないので
足が悪くなって口の中の状態が悪化することだってあります。
定期的にメンテナンスしようと伝えるのも
些細な変化から対応しておくことで
大事にさせないように準備しておくことができるためです。

特に口の中は日々の
衛生状態・栄養状態・精神状態などなど
あまたの影響を受けやすいところ。
放置して自覚できる症状・変化の再発は
多くが9か月目あたりで起こります。
(自覚できるだけまだ良い方。
 本当に完治させにくいほど悪化・変形している方は
 自覚症状すら現れませんから数年放置され悪化しています。)

なので自覚症状が出る前の
6カ月周期でのメンテナンスをおすすめしています。
(状態が悪ければ3カ月、良ければ1〜2年周期にすることも)

話がそれましたがドライマウスなども
これらの触診がものを言います。

最後はギャグのような本気の話で締めましょう。
感覚は繊細な強弱コントロールができて研ぎ澄まされます。
ドラムでもいいしピアノでもいい。
もちろん中級者以上のスキルがなきゃダメですが、
ドラムならゴーストノートとアクセントが使いこなせるレベル。
とはいえプロでも一生修行中と断言するもので
70歳を超えても現役の世界一稼いだスティーブ・ガッドですら
もっともっと上手くなりたいと対談で語るほどの技術ですから
極めることはできないのかもしれませんが、
なんちゃってレベルなら練習しだいでできます。
手の握り方1つでできない人は一生できない技術でもあります。
ちなみにウチで教える歯の磨き方にも通じるポイントでもあります。
(体験された方の多くは難しがっているのですが
 出来てしまえばこんな簡単なことはないのですが・・・)

弦楽器・管楽器とは違う能力を遊びながら鍛えられます。
今から将来歯医者にさせたいと思われる方がいたとして、
(今のご時世では不人気職業ですが)
職人並みの感覚を培わしておきたいなら
ドラムやピアノがおすすめです。

もっとも顔中に筋電図を張り付けて歯科治療をする
ような時代が来るかもしれませんので
そうなるようなら触診という技術そのものが
衰退していくかもしれませんね。
近年では内科・整形外科などでも触診してくれない
とボヤく患者さんも多いです。
データ表とパソコンばっか見て…と。
先端医療という名が、=ヒューマニズムの欠落
とはなってほしくないのですが。
関わりの長さや多さに比例して、
早く異変に気付いてあげられる
という現実もありますから。
人間の体は複雑です。


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posted by あっぷるいーと いんちょう at 16:49| Comment(0) | 歯・噛み合わせの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月31日

シリーズD・歯を守る・失った歯から知ろう2

さて、公園の遊具シーソーは、
加重がかかっている方に傾きます。
歯の場合も加重がかかっている方に傾く力がかかります。

例えば左噛みすることが圧倒的に多いとすれば、
加重のかかった左の歯は磨り減り、
左の歯槽骨は減少し、左の顎関節はつぶれる。

さらに追加して想像してください。
歯が触れている=食いしばっている です。
アゴも歯もひん曲がっている状態で食いしばる。
当然、筋肉も歪になります。

その代表的な体感症状が、偏頭痛です。

食いしばる筋肉の力が、歯と歯槽骨と顎関節を
もっとすり減らす。
悪化しかしません。

そこで
前回の骨が磨り減った方のレントゲンを見てみましょう。
これも、向かって右が、左の骨です。

20131218_104525-2.jpg

写し方の角度もあるんですが、
3本の赤い線・・・
前歯 > 右の奥歯 > 左の奥歯
と低くなっています。

骨が磨り減ったほうの、顎関節もつぶれています。
引きずられるように反対の顎関節も異なった形で変形しています。

黄色の丸は、顎関節。
左右で違うのがわかるでしょうか?
左の方が丸くつぶれ、
右の方が尖がるようにつぶれてます。

これは
食いしばりと左噛みがあった可能性を示唆します。

そこで入れ歯として、治療していく方法を考えましょう。

私の場合、大別すると2通りの選択肢に分けます。
患者さんに嫌われないようにするか、
患者さんに嫌われても治すか。

入れ歯で一番嫌われるのが、痛むこと。

この方の場合は、大きいけれど部分入れ歯で済みますから、
残っている歯と共に支えあえばそんなに苦労しないでいけます。

そこで、
使い慣れているズレた位置にあわせれば、
ひん曲がった状態ですが、痛みは出にくくなります。

そのかわり、顔つきは、おじいちゃんおばあちゃん。
深い皺(シワ)と歪んだ顔になり、
口内環境(ツバが出る・口内炎ができなくなる)などの
改善は期待できません。

この選択肢は私個人としては選びたくありません。
しかし、人によってはこの選択肢がベストということも多い。

自分はこう生きてきたんだからこれが正しい。
そこまで言い切るわけではありませんが、
何か(食いしばりや片側噛みなど)を変える意思がない人に、
できる治療は限られます。

なので、
良い方向に持っていく治療ではなく、
悪い方向に転がり落ちる現状を遅らせる治療、
へとシフトしていきます。

逆に、嫌われても治すとは、
歪んだ筋肉を伸ばし、アゴの位置を正し、
口内環境が良くなる状態を目指して行う
顎位の矯正治療です。

そのため、入れてからの治療に時間がかかります。
筋肉を誘導しやすい形の入れ歯を作り、
回復量を見ながら入れ歯を削り概観を変化させつつ調整を繰り返す。

その結果得られるものは、
口内炎ができない、
アゴが外れない、
シワが減って肌ツヤがでてきた、
全身の骨格や筋肉のバランスが整う、
などです。

はっきり言って入れ歯治療にここまで求められていません。
でも、こうすることが身体のためにもつながっていきます。

これをなすためには、痛みも強く感じることがあります。
調整しながら軽減させるのですが、
入れ歯の最大のデメリットが、自分で外せるという事です。

取り外せる歯並びの矯正装置でもそうなのですが、
痛いから入れてない。違和感があるから外してる。
ということが自分でできちゃうため、
治しようがありません。

つまり、嫌われても治す ⇒ 嫌われないようにする
へと、摺り寄せていく調整も必要になります。
譲れない点は引かず、入れている時間を増やす工夫をする。
その人がどう行動するかの予測を立てて、
じっくり時間をかけて、身体そのものの治りに応じる。

割に合う治療ではないですから、
この人には無理だなという人に、
たとえやるべきでも、やらないほうが良いということもあります。

歯があるうちに安定しやすい状態に慣らしておかないと、
入れ歯になってからの苦労のほうが多い。
無理やり「残っていた歯」で押しとどめていた圧力がすべて
入れ歯の乗っかるハグキのあった場所にかかります。

2013_10_18_14_01_57.jpg

これは吉祥寺駅前のロータリーにある喫煙所の一角。
花壇のヘリに腰掛けて、
植木を背もたれ代わりにする人がいたために変形した木。

悪い圧力がかかるとは、こんな感じです。
圧力がなくなれば元の形に戻るかもしれない。
でもここに腰掛ける人がいなくならなければ元には戻りません。
そして、この形でいる状態のまま成長し続けます。

顎関節症やすり減った歯
噛む圧力による歯槽骨の吸収(咬合性外傷という歯周病)は
まさにこの木と同じと言っても良いでしょう。



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posted by あっぷるいーと いんちょう at 21:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 歯・噛み合わせの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月28日

シリーズ・歯を守る・C失った歯から知ろう

新年が明けて早いもので1ヶ月が経とうとしています。
半端になってしまった、シリーズモノを
さっさと完結させなければいけないのですが、
なかなか書き上げれない状況が続き、
皆様に忘れられてるかも?とも思うので、
ちょっと話の展開を変えてみようと思います。

まずはこの写真を見てください。
ちょっと分かりにくいんですが、
変な事に気付くでしょうか?
見てほしいのは歯の無いところ。

20131122_17113-2.jpg

入れ歯を入れるためのアゴの骨の隆起。
左右で大きさが違うんです。

型とその模型で、骨の幅に線を書いてみました。

20131118_190841-3.jpg


もともとこの線の幅は、歯根が埋まっていた骨の部分です。
ですから本来なら、歯根の「長さや幅」以上に骨があるはずでした。

そこで質問です。
同じ人なのに、なぜこんなにも左右差があるのでしょう?
(ちなみに、向かって右の骨がないほうが、左の骨です。)

例えば、こんなことが考えられます。

@
左の骨のないほうが30年前に抜いたところで、
右の骨のあるほうが5年前に抜いたところ。
時間の経過が長い分、骨がなくなってしまうこともあります。

@−1
たとえば
その25年の間に、歯がある右側で噛めるから・・・と
入れ歯を入れなかった場合。

宇宙飛行士が宇宙に行くと、無重力の環境のため、
骨がスカスカになってしまう、という話は知っていますか?
以前、このブログで書いた気もしますが、
適度の圧力がかかることで骨密度が保たれます。
入れ歯を入れてなかったという状況は、
圧力がかからないということなので、
使わないものは退化する原則のとおり、
骨が退化し小さくなっていった、という可能性が高いでしょう。

@−2
もしその25年間に、合わない入れ歯を入れていた場合、
噛むたびにズレ、骨を痛め続けた結果、骨が小さくなった
という可能性もあります。
ただ、「合わない」とは、最初からのものだけでなく、
徐々に変化して起こるものも含みます。
保険の入れ歯はプラスチック製です。
噛む圧力で徐々にいくらでも削れてしまい、高さが合わなくなります。
それでも噛み慣れているからと、そのままにされてしまうことも、
合わない入れ歯を入れていた、に該当します。
磨り減り具合に応じて定期的に作り変えなければいけないのですが、
結構そのままにされてしまうことも多くなってしまいます。
噛み慣れている イコール 合っている ではないんです。

ちなみに横道にそれますが、入れ歯の場合、
現在の変形したアゴにとって馴染みやすいものをつくったか、
本来あるべき状態に矯正するために、
すぐには馴染めないものをつくったか、
という目的の違いにおいてもその意味合いが変わってきます。
(いずれ場を改めて書くと思いますのでその時に)


A
歯があるうちに骨が減る原因となる場合・・・
虫歯や歯周病による悪化や、過度すぎる噛む力によって、
骨を破壊しまくった結果ということもあるでしょう。

歯があった時代に悪化させ、でも痛みがないしグラグラしても放置した。
そういう人も多くいます。
もともと歯があった状態の時から骨がなくなってしまえば、
回復することはまずありません。

このシリーズは歯を守ることをメインに語っています。
だからグラグラの歯でも守れるものならば、
残すような治療を選択したいということをメインで語っています。

しかし、そのためには炎症の原因となる
感染や、過剰な噛む力をコントロールできる場合に限られます。
またそれらをコントロールすれば回復する力が備わっている人に限ります。

今後も悪化しかしないとわかっている歯を
無理やり数年残存させることはできます。
しかしその結果は、この写真のように骨がなくなる。

部分的ならまだしも、総入れ歯となったときが大変です。
そうなれば、入れ歯は安定しにくく、
インプラントという選択肢も不可能、
身体のことを考えた噛み合わせを作り出すことも至難になるため、
ないよりはマシか?というものができるかどうかというレベルに
なってしまうことにも繋がります。
(もっとも100にはできなくても、
 60以上のものを目指した治療は行うのですが、詳細はまた別件で)

そうならないための転ばぬ先の杖。
(本当はおしゃれ杖のような短いものは
姿勢を崩し、噛み合わせが狂うのでおすすめしませんが、
そういうコトワザがあるのだから仕方がないですね。)

ぜひ読んでいる方の全員が意識してみてください。

日常生活で無意識に起こる食いしばり。
はっきりいって、ほとんどの人にあります。
筋肉に力を込めて噛んでいる状態だけじゃないんです。
上下の歯が触れ合っていることも食いしばりです。

考えてみてください。
上下の歯が触れ合っているということは、
口を閉じるという筋肉をフル活用した最終形態です。
それ以上に筋肉に力を込めようと、込めなかろうと、
それは食いしばっている状態とイコールでしょ。

その状態は、細菌が繁殖しやすく、常に圧力がかかり、
歯へのダメージは計り知れません。

治療でそれをどうにかするというのであれば、
脳内にチップを埋め込み完全コントロールするという
SFチックなものになるか、
口の筋肉が閉じないように筋肉を麻痺させる注射を打つか、
ということにでもなるでしょうか。
どちらも現実的ではありませんけど。

基本的にこれは癖です。
だからこそ、意識改革してくれることが最も効果があります。

しかしこれは癖です。
常に意識するという決意がなければ、すぐに元の木阿弥。
治療してても難しい人はいます。
そういう人に対して、
治療で対処できるのはその癖による悪化スピードを
遅らせることぐらいまで、といっても良いでしょう。

こういう喩えで考えてみてください。
初期の癌は手術で除去できる。
でも、癌になるまでと同じ生活をしていたら
また別の癌ができる。
ストレスなのか生活環境なのか、
リスクとなるものを低減できなければ、
癌ができる確率は同じだけあるということです。
ましてや一度できてしまった人であるならば、
同じリスクにさらされ続けていれば、
同じようにまたできる可能性が高いわけです。

そのリスクを減らすことは、
なぜを知り、そのリスクが日常にあることに気付き、
減らすようにする意識を持ち続けること、
がもっとも大事で、もっとも難しい。

歯があるうちにどうだったか?
それが歯がなくなってからの選択の幅に関わってしまう。
それだけは理解しておきましょうね。

ちなみに、猫背の話や、棒を使ったストレッチの話。
以前書いたブログですが、
この食いしばりの話に大きく関わってくるんです。

B
そのほかにも、
骨粗しょう症などの病気がある可能性、
事故などの結果の骨折の既往、
無理な抜歯を受けた過去がある、
などいろいろな原因があるのですが、
全ては予想の範囲。

患者さんとの対話や、レントゲン写真であたりをつけていきます。
だって、歯が抜けた原因がそのまま、
入れ歯の安定性や作る方向性の範囲を狭めることになるのですから。

ということで、この方の場合のお話を続けて次回に語ってみましょう。


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posted by あっぷるいーと いんちょう at 01:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 歯・噛み合わせの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする