2014年01月31日

シリーズD・歯を守る・失った歯から知ろう2

さて、公園の遊具シーソーは、
加重がかかっている方に傾きます。
歯の場合も加重がかかっている方に傾く力がかかります。

例えば左噛みすることが圧倒的に多いとすれば、
加重のかかった左の歯は磨り減り、
左の歯槽骨は減少し、左の顎関節はつぶれる。

さらに追加して想像してください。
歯が触れている=食いしばっている です。
アゴも歯もひん曲がっている状態で食いしばる。
当然、筋肉も歪になります。

その代表的な体感症状が、偏頭痛です。

食いしばる筋肉の力が、歯と歯槽骨と顎関節を
もっとすり減らす。
悪化しかしません。

そこで
前回の骨が磨り減った方のレントゲンを見てみましょう。
これも、向かって右が、左の骨です。

20131218_104525-2.jpg

写し方の角度もあるんですが、
3本の赤い線・・・
前歯 > 右の奥歯 > 左の奥歯
と低くなっています。

骨が磨り減ったほうの、顎関節もつぶれています。
引きずられるように反対の顎関節も異なった形で変形しています。

黄色の丸は、顎関節。
左右で違うのがわかるでしょうか?
左の方が丸くつぶれ、
右の方が尖がるようにつぶれてます。

これは
食いしばりと左噛みがあった可能性を示唆します。

そこで入れ歯として、治療していく方法を考えましょう。

私の場合、大別すると2通りの選択肢に分けます。
患者さんに嫌われないようにするか、
患者さんに嫌われても治すか。

入れ歯で一番嫌われるのが、痛むこと。

この方の場合は、大きいけれど部分入れ歯で済みますから、
残っている歯と共に支えあえばそんなに苦労しないでいけます。

そこで、
使い慣れているズレた位置にあわせれば、
ひん曲がった状態ですが、痛みは出にくくなります。

そのかわり、顔つきは、おじいちゃんおばあちゃん。
深い皺(シワ)と歪んだ顔になり、
口内環境(ツバが出る・口内炎ができなくなる)などの
改善は期待できません。

この選択肢は私個人としては選びたくありません。
しかし、人によってはこの選択肢がベストということも多い。

自分はこう生きてきたんだからこれが正しい。
そこまで言い切るわけではありませんが、
何か(食いしばりや片側噛みなど)を変える意思がない人に、
できる治療は限られます。

なので、
良い方向に持っていく治療ではなく、
悪い方向に転がり落ちる現状を遅らせる治療、
へとシフトしていきます。

逆に、嫌われても治すとは、
歪んだ筋肉を伸ばし、アゴの位置を正し、
口内環境が良くなる状態を目指して行う
顎位の矯正治療です。

そのため、入れてからの治療に時間がかかります。
筋肉を誘導しやすい形の入れ歯を作り、
回復量を見ながら入れ歯を削り概観を変化させつつ調整を繰り返す。

その結果得られるものは、
口内炎ができない、
アゴが外れない、
シワが減って肌ツヤがでてきた、
全身の骨格や筋肉のバランスが整う、
などです。

はっきり言って入れ歯治療にここまで求められていません。
でも、こうすることが身体のためにもつながっていきます。

これをなすためには、痛みも強く感じることがあります。
調整しながら軽減させるのですが、
入れ歯の最大のデメリットが、自分で外せるという事です。

取り外せる歯並びの矯正装置でもそうなのですが、
痛いから入れてない。違和感があるから外してる。
ということが自分でできちゃうため、
治しようがありません。

つまり、嫌われても治す ⇒ 嫌われないようにする
へと、摺り寄せていく調整も必要になります。
譲れない点は引かず、入れている時間を増やす工夫をする。
その人がどう行動するかの予測を立てて、
じっくり時間をかけて、身体そのものの治りに応じる。

割に合う治療ではないですから、
この人には無理だなという人に、
たとえやるべきでも、やらないほうが良いということもあります。

歯があるうちに安定しやすい状態に慣らしておかないと、
入れ歯になってからの苦労のほうが多い。
無理やり「残っていた歯」で押しとどめていた圧力がすべて
入れ歯の乗っかるハグキのあった場所にかかります。

2013_10_18_14_01_57.jpg

これは吉祥寺駅前のロータリーにある喫煙所の一角。
花壇のヘリに腰掛けて、
植木を背もたれ代わりにする人がいたために変形した木。

悪い圧力がかかるとは、こんな感じです。
圧力がなくなれば元の形に戻るかもしれない。
でもここに腰掛ける人がいなくならなければ元には戻りません。
そして、この形でいる状態のまま成長し続けます。

顎関節症やすり減った歯
噛む圧力による歯槽骨の吸収(咬合性外傷という歯周病)は
まさにこの木と同じと言っても良いでしょう。



カラフルあっぷるいーと3.JPG




posted by あっぷるいーと いんちょう at 21:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 歯・噛み合わせの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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