2017年05月24日

オーラルフレイルと舌の話

さてオーラルフレイルとなってゆく原因のうち
社会的な生活からかけ離れてしまうことで
話すことさえ減ってしまえば
筋肉を動かさないようになってしまう
というお話は前回しました。
今回はもう少し深い話をしてみましょう。
オーラルフレイルの関連する話を進めます。

皆さんは舌の位置とか気にしたことはありますか?
普段どこに舌があるか知っているでしょうか?

例えば
青信号になったとき左右どちらかの足から歩き始めるでしょう?
普段から縁起担ぎなどで意識している人ならば
どちらから動かすか決まっているかもしれません。

まぁ大半は自然と体が動くでしょう、その場合
いつも同じ足という人と
その時によって変わっている人
がいます。
利き足というのがありますから
いつも同じ足というのは間違いではありませんが、
歩き始める足とは反対の足にいつも重心がかかっている
ので、常に歩き始める足が自然と決まっている場合は
将来的に危険な場合があることは理解していますか?

左右の足均等に体重が振り分けられているなら良いですが、
いつも同じ方を上に足を組むほうが楽という人や、
左右で足のむくみ方が違うという人、
どちらかの足のほうがよく攣る(つる)人
などはもう症状が出ているとも言えますね。

片足重心ですぐ思い当たるのは骨盤が歪むということでしょう。
骨盤が歪めば
むくみ・冷え性・生理不順・肩こり・腰痛
さらには、顔のむくみ・肥満・疲れやすくなる・肌荒れ
自律神経の働きを低下させることで内蔵の働きも低下させる
などにも関与します。
身体の内側から老化させる原因ともいえます。

足癖で片足重心となったとしましょう。
その癖が長く続き、骨盤の骨格さえも変形して歪んだとします。
すると、椅子に座っているときでさえ骨盤が歪んでいるのですから
姿勢は歪なバランスになっています。
背骨や首、頭の位置でさえ重心軸に乗っていません。
(バランスゲームである崩れかけの
 ジェンガをイメージしてもらえばわかりやすい?)

身体は絶妙なバランスで調和をとって成り立っています。
骨格の位置を正しく保つということは筋肉や腱など
骨格を支えるものが前後左右でバランスが取れているかに関わります。

日常のあたりまえとしている行動も、度が過ぎると
足癖ですら体を壊す要素となります。


口の中で考えてみましょう。

噛み合わせがずれる要因は様々あります。
・歯並びが悪い
・抜けたまま放置して残存歯が動いたり擦れ削れたりした
・虫歯や歯周炎などでそれぞれの歯がミクロン単位で傾いた
などが特に多いでしょうか。

それでもくいしばりなどがなければ
下顎はぶら下がっているだけなので噛んだ瞬間以外は
下顎を吊るす筋肉に悪影響は出ません。
しかし、くいしばっていると
ずれた歯同士が歪に接触しあうのですから
下顎を吊るす筋肉も悪影響が出て硬直したりします。
そして骨も硬さの弱いところから徐々に変形する。
顎関節の骨の変形などがそれにあたります。

ちなみにウチで診た初診に患者さんの約90%は
くいしばり(トゥース・コンタクティング・ハビット)があります。
その中の80%はくいしばっている自覚がありません。
それだけ、メジャーな症状ですが
治すためにはコツがいります。

噛むための重心はとれているか?
歯ぐきなどの炎症で歯の位置はズレていないか?
猫背や寝姿など歪な姿勢になっていないか?
などなど、問診・視診・治療効果での変化の聞き取り
様々な要素から判断し、治療と日常の改善をもって
治していくわけですが、
その中の要素の1つに始めのほうで述べた
舌の位置があります。
(長すぎた前置きですので覚えていますか?)

舌の先端が「上の前歯の歯と歯ぐきの境目くらい」に
軽く触れている状態が正しい位置です。
ただし舌の裏側が鏡で見て見えていればそれは間違いです。
(力んで押し付けているだけです。必ずすぐにくいしばります)
また上下の歯が噛み合わず、隙間ができていたら正解です。
(自然と上下の歯が離れているのが正常です)

舌の先端が
・もっと上奥のヒダ状のところか、もっと奥に舌がある
・上の前歯の内側に押し当ててる
・上下の前歯で噛む(orはさむ)
・下の歯に触れている
・・・これらはすべてくいしばっているポジションです。
(ただし舌のリハビリを行う場合、このポジションにさせるトレーニングもします)

先ほどの足と同様に
「くいしばる」ことで猫背になり
顎関節の骨の形も変形させ、
歪んだ位置で固定された頭&上体の重さが
背中や骨盤にも負担をかけ変形させる。

と、当然、口腔周囲=顔の筋肉も歪になり
シワやクスミも増えます。
まだ体力があるうちは良いですが、
以前書いたことがある
「急になった病人は、病室でやつれた自分の顔を見て
 急に心まで老け込み意欲をなくす」
が起こってしまいます。

あきらかに見慣れた自分の顔がそこにない恐怖。
鏡がなくても体が重い実感はあります。
しかし浦島太郎の玉手箱状態を「見て」しまうのです。

・・・話が脱線しすぎました。
オーラルフレイルのその先へと
話が進みすぎました。
ただ、そうならないために早めに口内改善を必要とします。

認知症と診断されたら早く歯医者に行って!
認知症が重篤化するほど
歯医者になんかかかってられないと放置されます。
(これが癌でも他の病気でも同じだと思ってください)
歯科医師サイドとしても、
ここまでは本人や介助者にもできないか・・・
と本来ならやっておきたい事ややってほしいケアも
日常の「生きる」大変さ優先で
「活きる」ための行為までは期待できないと
あきらめてしまう状況も実際にあります。
なので、軽度の認知症が始まった時点から
定期的に口内環境を調整し続けることで
健康寿命を延ばし、終わりを迎えるとき近くまで
口から食べられるようにしていこう。
・・・これがオーラルフレイルの真髄でしょう。

舌の位置などは
歳を重ねるほどにオーラルフレイルへと
なりやすい悪習慣だといえるでしょう。
何気ないことですが
些細な積み重ねが多いほど
・良いことならいつまでも悪化しにくく、
・悪いことならどこかに負担が集積して
耐え続けた部位がダメになり
動かない筋肉などの症状が出て
飲み込みすらおぼつかなくなる、
(嚥下の話は次回にしましょう)

簡単に済ますこともできるのですが、
自分の言葉で話す以上、なかなか終わりません。
まだまだ続きます。


カラフルあっぷるいーと3.JPG


posted by あっぷるいーと いんちょう at 19:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 全身に関わる歯科の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする